1.真ん中を表す3つの値
平均値は、すべての値を足して個数で割った値です。すべての値を均等に分け合ったら、1人あたりいくらになるかを表します。中央値は、値を大きさの順に並べたときにちょうど真ん中にある値です。個数が偶数なら、真ん中の2つの値の平均を使います。最頻値は、いちばん多く出てきた値です。
3つは同じデータでも違うことがあり、何を知りたいかによって使い分けなければなりません。靴屋がいちばん多くそろえるべきサイズは最頻値が教えてくれ、「ふつうの人の所得」は中央値のほうがよく表し、全体の総量を分ける計算(1人あたりの使用量など)には平均値が合っています。
- 手順1:平均値。合計 2 + 4 + 4 + 4 + 5 + 5 + 7 + 9 = 40、個数 8、40 ÷ 8 = 5。
- 手順2:中央値。すでに大きさの順です。8個なので4番目と5番目の値4と5の平均、(4 + 5) ÷ 2 = 4.5。
- 手順3:最頻値。4が3回でいちばん多く出てきます。最頻値は4。
- 検算:平均値5から各値を引いた偏差 −3、−1、−1、−1、0、0、2、4 をすべて足すと0です。偏差の合計が0なら、平均値を正しく求められています。
2.平均の平均は平均ではない ― 加重平均
2つのグループの平均がわかっていて全体の平均を求めるとき、2つの平均を足して2で割ると、たいてい間違いです。そのやり方が正しいのは、2つのグループの人数が同じときだけです。人数が違えば、人の多いグループの平均が全体の平均により大きく影響するはずだからです。
正しいやり方は、平均の定義に立ち返ることです。各グループの「平均 × 人数」で合計をよみがえらせ、すべて足してから全体の人数で割ります。このように、各値にその重み(人数、重さ、時間など)をかけて求めた平均を加重平均といいます。科目ごとに単位数が違う成績の平均や、購入時期ごとに数量が違う平均購入単価も、すべて加重平均です。
- 手順1:各クラスの点数の合計をよみがえらせます。A組 80 × 20 = 1,600点、B組 70 × 30 = 2,100点。
- 手順2:全体の合計 1,600 + 2,100 = 3,700点、全体の人数 20 + 30 = 50人。
- 手順3:全体の平均 = 3,700 ÷ 50 = 74点。
- 手順4:よくある間違いは (80 + 70) ÷ 2 = 75点。人数の多いB組(70点)のほうへ平均が引っぱられることが抜け落ちています。
- 検算:74点は2クラスの平均の間にあり、人数の多いB組の70点により近い値です。74 × 50 = 3,700 で合計も合っています。
3.散らばり ― 平均が同じでもデータは違う
2クラスの試験の点数があります。A組の5人は70、70、70、70、70点で、B組の5人は50、60、70、80、90点です。どちらのクラスも平均は70点ですが、まったく違うクラスです。A組は全員が似ていて、B組は実力の差が大きいのです。この違いを数で表すのが分散と標準偏差です。
やり方はこうです。各値が平均からどれだけ離れているか(偏差)を求めます。偏差をそのまま足すといつも0になるので、2乗してすべて正の数にします。2乗した偏差の平均が分散です。分散は単位が2乗(点²)で解釈しにくいので、平方根をとってもとの単位に戻したものが標準偏差です。
この講義では、手元のデータ全体を1つの母集団と見なして n で割る母分散を使います。B組の偏差は −20、−10、0、10、20 で、2乗すると 400、100、0、100、400、合計 1,000 です。1,000 ÷ 5 = 200 が分散、√200 ≈ 14.1点 が標準偏差です。A組は偏差がすべて0なので、分散も標準偏差も0です。
4.分散と標準偏差を手で計算する
前のデータ 2、4、4、4、5、5、7、9 で、最初から最後まで計算してみましょう。表を作ってマスを1つずつ埋めていくと、間違いが大きく減ります。
- 母分散(n で割る):手元のデータが関心の対象全体のとき。この例では4。
- 標本分散(n − 1 で割る):一部を抜き出した標本から全体の分散を推定するとき。この例では 32 ÷ 7 ≈ 4.57、標準偏差 ≈ 2.14。
- 標本で計算すると平均も標本から求めるので、散らばりが実際より少し小さく出る傾向があり、n − 1 で割って補正します。
- 表計算ソフト・電卓・AIがどちらを使っているかを先に確かめましょう。同じデータでも値が違って出ます。
| 値 | 偏差(値 − 5) | 偏差² |
|---|---|---|
| 2 | −3 | 9 |
| 4 | −1 | 1 |
| 4 | −1 | 1 |
| 4 | −1 | 1 |
| 5 | 0 | 0 |
| 5 | 0 | 0 |
| 7 | 2 | 4 |
| 9 | 4 | 16 |
| 合計 | 0 | 32 |
- 手順1:平均値5を求めます(前の節)。
- 手順2:偏差²の合計。9 + 1 + 1 + 1 + 0 + 0 + 4 + 16 = 32。
- 手順3:母分散 = 32 ÷ 8 = 4。
- 手順4:標準偏差 = √4 = 2。
- 検算:偏差の合計が −3 − 1 − 1 − 1 + 0 + 0 + 2 + 4 = 0 になるかを確かめます。0なので、平均値と偏差を正しく求められています。
5.外れ値 ― 平均値を揺さぶる1人
ほかの値からかけ離れた値を外れ値といいます。平均値はすべての値を足すので外れ値1つに大きく引っぱられ、中央値は順序しか見ないのでほとんど揺らぎません。そのため、所得や住宅価格のように、ごく大きな値が一部まじったデータでは、平均値より中央値のほうが「ふつう」をよく表します。
外れ値をむやみに消すのも正解ではありません。入力ミスなら直すべきですが、実際に起きた値なら、それ自体が大切な情報かもしれません。平均値と中央値をあわせて見て、2つの差が大きければ、外れ値や片寄った分布があるサインとして受け止めましょう。
- 手順1:最初の5人。合計17,500、平均値 17,500 ÷ 5 = 3,500。中央値は3番目の値3,500。
- 手順2:6人。合計 17,500 + 30,000 = 47,500、平均値 47,500 ÷ 6 ≈ 7,917。
- 手順3:6人の中央値。大きさの順に 3,000、3,200、3,500、3,800、4,000、30,000 で、3番目と4番目の平均 (3,500 + 3,800) ÷ 2 = 3,650。
- 検算:6人のうち平均値7,917を超える人は1人だけです。平均値が「ふつうの人」を代表できていないということです。
📌 要点まとめ
- 平均値は総量を分けた値、中央値は順番で真ん中、最頻値はいちばんよく現れる値である
- 平均値が同じでも散らばりは違いうる ― 分散と標準偏差で散らばりを測る
- 分散 = 偏差²の平均、標準偏差 = √分散(もとの単位に戻る)
- 母分散は n、標本分散は n − 1 で割る ― どちらかを明示し、一貫して使う
- 外れ値は平均値を大きく揺さぶるが、中央値はほとんど揺さぶらない
🔁 演習問題(無制限)
問題を限りなく新しく作り出します。答えを書いて「確認」を押すとすぐに採点し、「解き方を見る」を押すと本文と同じ順序の段階ごとの解き方が開きます。難易度を選べ、連続で正解した回数を数えます。
- やさしい:平均値と中央値
- ふつう:平均値・中央値・母分散
- 難しい:中央値・母分散・標準偏差
この演習はブラウザのJavaScriptで問題を作ります。いまは問題を作れないので、上の例題と確認問題で練習し、JavaScriptを有効にしてから開き直してください。
答え
答えは整数・小数・分数で入力します(例:12、0.75、3/4、−2/3、1 3/4)。分数の答えは小数第3位まで合っていれば正解とします。解き方を先に見るか間違えると連続正解は0に戻り、最高記録だけがこのブラウザに保存されます。
🤖 AIにはこう聞いてみましょう
コピーして [ ] の部分を自分の状況に書き換えて使います。答えはそのまま信じず、本文と比べて確かめましょう。
統計の計算過程を確かめたいとき
データ [数値] の平均値、中央値、最頻値、分散、標準偏差を求めてください。値・偏差・偏差² の列がある表で段階ごとに見せて、母分散(n で割る)と標本分散(n − 1 で割る)の両方を計算し、どちらなのか名前をつけてください。偏差の合計が0になっているかも確かめてください。
どの代表値を使うべきか迷うとき
私のデータは [データの説明] です。平均値と中央値のどちらを代表値として報告するのが適切か、外れ値があるかどうかを判断する基準とあわせて説明してください。両方の値を報告すべき場合かどうかも教えてください。
- 中学校・高校の数学教科書の一般的な内容(代表値と散らばり)
- 基礎的な統計学の教科書の一般的な説明(母分散と標本分散)
学習目標をすべて達成できたら完了を押しましょう。
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