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📐 数学の基礎 · 第5講 / 10

指数と対数 ― かけ算で大きくなる世界

足して大きくなるものと、かけて大きくなるものは、まったく違う育ち方をします。指数はかけて大きくなる量を書くことばで、対数は「何回かけたか」を逆に問うことばです。

⏱ 約18分 ✍️ 確認問題 4問 🔁 演習 無制限 更新 2026-10-08
🎯 この講義の学習目標
  • 累乗を計算し、指数法則を使える
  • 複利で増えた金額を計算し、単利と比べられる
  • 72の法則で2倍になる期間を見積もり、その限界を言える
  • 対数を「何回かけたか」として説明し、対数目盛のグラフを読める

1.累乗と指数法則

同じ数を何回もかけたものを累乗といい、かけた回数を指数といいます。2⁵ = 2 × 2 × 2 × 2 × 2 = 32 で、このとき2を底、5を指数といいます。2を10回かけると1,024で、最初の500倍を超えます。2を10回足すと20であることと比べれば、かけ算の繰り返しがどれほど速く大きくなるかがわかります。

指数法則は「かけた回数を数える」という考えからすぐに出てきます。2³ × 2⁴ は、2を3回かけたものと4回かけたものをさらにかけたのですから、2を7回かけたもの、つまり 2⁷ です。割り算では回数を引き、累乗の累乗では回数をかけます。

aᵐ × aⁿ = aᵐ⁺ⁿ
aᵐ ÷ aⁿ = aᵐ⁻ⁿ
(aᵐ)ⁿ = aᵐⁿ
a⁰ = 1, a⁻ⁿ = 1/aⁿ (a ≠ 0)
例題2³ × 2⁴ と (10²)³ を指数法則で計算しましょう。
  1. 手順1:2³ × 2⁴ = 2³⁺⁴ = 2⁷ = 128。
  2. 手順2:(10²)³ = 10²ˣ³ = 10⁶ = 1,000,000。
  3. 検算:2³ = 8、2⁴ = 16 で、8 × 16 = 128 と同じです。10² = 100 で、100 × 100 × 100 = 1,000,000 と同じです。
答え128、1,000,000
a⁰ = 1 になる理由:2³ ÷ 2³ は当然1で、指数法則では 2³⁻³ = 2⁰ です。2つが等しいためには 2⁰ = 1 でなければなりません。

2.複利 ― 利息に利息がつく

単利は最初の元金にだけ利息がつき、複利は利息が元金に加えられてから、その合計にまた利息がつきます。年 r の複利で n 年たつと、元金に (1 + r) を n 回かけることになるので、複利は指数の問題です。

最初の数年は単利と複利の差が小さく見えますが、期間が長くなるほど差は急激に開きます。借金では、同じ原理が逆向きに働きます。返していない利息に利息がつけば、借金も指数的に膨らみます。

単利:元利合計 = 元金 × (1 + r × n)
複利:元利合計 = 元金 × (1 + r)ⁿ
例題1,000,000円を年5%の複利で3年預けると、いくらになるでしょうか。単利とも比べましょう。(税金・手数料は考えません)
  1. 手順1:1年後。1,000,000 × 1.05 = 1,050,000円。
  2. 手順2:2年後。1,050,000 × 1.05 = 1,102,500円。
  3. 手順3:3年後。1,102,500 × 1.05 = 1,157,625円。
  4. 手順4:単利なら毎年50,000円ずつなので、1,000,000 + 50,000 × 3 = 1,150,000円。
  5. 検算:1.05³ = 1.157625 なので、1,000,000 × 1.157625 = 1,157,625円 で同じです。複利は単利より7,625円多くなります。
答え複利 1,157,625円、単利 1,150,000円

3.2倍になる時間と72の法則

複利で増える量が2倍になるまでにかかる期間は、「72 ÷ 利率(%)」で見積もれます。これを72の法則といいます。年6%なら 72 ÷ 6 = 12 で約12年、年8%なら約9年です。

あくまで見積もりです。年6%で12年の複利を計算すると 1.06¹² ≈ 2.012 でほぼ正確ですが、利率がとても高かったり低かったりすると誤差が大きくなります。正確な期間は次の節の対数で求めます。年6%の正確な値は約11.9年です。

この法則はお金以外にも使えます。毎年一定の割合で増える利用者数、物価、データ量などすべてに当てはまります。物価が毎年3%ずつ上がれば、約 72 ÷ 3 = 24 年後に物価は2倍になり、同じお金で買える量は半分に減ります。

例題年10%の複利なら、元金が2倍になるのに約何年かかるでしょうか。72の法則で見積もり、実際の値で確かめましょう。
  1. 手順1:見積もり。72 ÷ 10 = 7.2年。
  2. 手順2:実際に確かめます。1.1⁷ ≈ 1.949 でまだ2倍にならず、1.1⁸ ≈ 2.144 で2倍を超えます。
  3. 手順3:したがって7年と8年の間に2倍になります。対数で正確に求めると約7.27年です。
  4. 検算:1.1⁷ = 1.1 × 1.1 × … を順にかけていくと 1.21、1.331、1.4641、1.61051、1.771561、1.9487171 で、2に少し届きません。
答え約7.2年(実際には7年と8年の間、約7.27年)

4.対数 ― 何回かけたか

2を何回かけると8になるでしょうか。3回です。この「何回」を表すことばが対数です。log₂ 8 = 3 と書き、「2を底とする8の対数は3」と読みます。指数 2³ = 8 を逆に問うたものです。log₁₀ 1000 = 3、log₂ 1024 = 10 も同じ意味です。

対数のいちばん大切な性質は、かけ算を足し算に変えることです。かけた回数同士は足し合わされるからです。log(a × b) = log a + log b。ですから10をかけるたびに、10を底とする対数は1ずつ増えます。

対数は「半分にすることを何回繰り返せばよいか」にも答えます。並べ替えられた1,000,000個のデータから目当ての値を探すとき、真ん中を見て半分ずつ捨てる方法を使えば、log₂ 1,000,000 ≈ 19.9 なので、多くても約20回で見つかります。2²⁰ = 1,048,576 が1,000,000より大きいからです。コンピューターが大きなデータを素早く探す原理の一つです。

2³ = 8 ⇔ log₂ 8 = 3
log(a × b) = log a + log b
log₁₀ 10 = 1, log₁₀ 100 = 2, log₁₀ 1000 = 3

5.対数目盛のグラフを読む

ふつうの目盛は1目盛ごとに同じ量を足します(0、10、20、30 …)。対数目盛は1目盛ごとに同じ倍数をかけます(1、10、100、1000 …)。そのため、指数的に増える量を対数目盛に描くとまっすぐな直線になります。毎年2倍になる量は、ふつうの目盛では急に跳ね上がる曲線ですが、対数目盛では一定の傾きの直線です。

対数目盛のグラフを見るときは、同じ高さの差は同じ「倍数」だということを覚えておく必要があります。10から100へ行く距離と、100から1000へ行く距離は同じです。ふつうの目盛のように読むと、後半のとてつもない増加を小さく感じてしまいます。音の大きさ(デシベル)や地震の規模も対数を使う尺度なので、数字が1や10違うだけでも、実際の強さは何倍も違います。

逆に、増え方が鈍ってきているかを見たいときには、対数目盛が役に立ちます。対数グラフの傾きが小さくなっていれば、増加率が下がっているということです。

  • 軸に 1、10、100、1000 のように倍数で目盛がついていれば対数目盛である
  • 対数目盛での直線 = 一定の割合での増加(指数的な増加)
  • 同じ高さの差 = 同じ倍数であって、同じ量ではない

📌 要点まとめ

  • 指数はかけた回数である ― かけ算の繰り返しは、足し算の繰り返しよりはるかに速く大きくなる
  • 同じ底のかけ算は指数を足し、割り算は引き、累乗の累乗はかける
  • 複利は 元金 × (1 + r)ⁿ ― 期間が長いほど単利との差が大きくなる
  • 72 ÷ 利率(%)は、2倍になる期間の見積もりである
  • 対数は「何回かけたか」であり、かけ算を足し算に変える
  • 対数目盛では同じ間隔が同じ倍数であり、指数的な増加が直線に見える

✍️ 確認問題

まず自分で解いてから「解答と解説」を開いてください。

Q1. 2⁵ × 2³ の値はいくつでしょうか。

⭕ 正解です

❌ もう一度考えてみましょう

解答と解説
正解 ③ 256

同じ底のかけ算は指数を足して 2⁵⁺³ = 2⁸ = 256 です。検算:32 × 8 = 256。

Q2. log₃ 81 の値を求めましょう。

解答と解説
解答例 4

3を何回かけると81になるかを問うています。3 × 3 × 3 × 3 = 81 なので4です。

Q3. 年4%の複利のとき、72の法則で見積もった「2倍になる期間」はどれくらいでしょうか。

⭕ 正解です

❌ もう一度考えてみましょう

解答と解説
正解 ② 約18年

72 ÷ 4 = 18年です。実際に 1.04¹⁸ ≈ 2.03 なので、見積もりはかなり正確です。

Q4. 縦軸に 1、10、100、1000 と目盛がふられたグラフで、ある量がまっすぐな直線で上がっています。何を意味するでしょうか。

⭕ 正解です

❌ もう一度考えてみましょう

解答と解説
正解 ② 毎年同じ割合で増えている

対数目盛での直線は、同じ時間ごとに同じ倍数で大きくなるという意味、つまり一定の割合での指数的な増加です。

🔁 演習問題(無制限)

問題を限りなく新しく作り出します。答えを書いて「確認」を押すとすぐに採点し、「解き方を見る」を押すと本文と同じ順序の段階ごとの解き方が開きます。難易度を選べ、連続で正解した回数を数えます。

  • 指数法則(かけ算・割り算・累乗の累乗)
  • 対数の値を求める
  • ふつうから:0乗・負の指数、対数の足し算の性質、72の法則
  • 難しい:複利の元利合計

この演習はブラウザのJavaScriptで問題を作ります。いまは問題を作れないので、上の例題と確認問題で練習し、JavaScriptを有効にしてから開き直してください。

🤖 AIにはこう聞いてみましょう

コピーして [ ] の部分を自分の状況に書き換えて使います。答えはそのまま信じず、本文と比べて確かめましょう。

複利の計算を確かめたいとき

元金 [金額]、年 [利率]% の複利、[期間] 年のとき、毎年の元利合計を表で見せてください。同じ条件の単利の結果も隣の列に入れてください。最後の行には 元金 × (1 + r)ⁿ の式で一度に計算した値も書いて、表の最後の値と同じかどうかを見せてください。税金と手数料は除いて計算してください。

対数がまだピンとこないとき

対数を「何回かけたか」という見方で、電卓なしで確かめられる例を5つ使って説明してください。そのあと、私が解く問題を5問出して、答えは私が言ってから教えてください。
参考
  • 中学校・高校の数学教科書の一般的な内容(指数、対数、等比数列)

学習目標をすべて達成できたら完了を押しましょう。

📐 数学の基礎

  1. 1数と計算 ― 分数と小数をもう一度
  2. 2比と割合 ― パーセントを正しく読む
  3. 3方程式 ― わからない数を見つける天びん
  4. 4関数とグラフ ― 変化を読む目
  5. 5指数と対数 ― かけ算で大きくなる世界
  6. 6図形の基礎 ― 面積と三平方の定理
  7. 7確率 ― 不確かさを数で表す
  8. 8統計 ― 平均値・中央値・分散
  9. 9データを読む ― グラフの落とし穴
  10. 10AIを理解するための数学
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