1.累乗と指数法則
同じ数を何回もかけたものを累乗といい、かけた回数を指数といいます。2⁵ = 2 × 2 × 2 × 2 × 2 = 32 で、このとき2を底、5を指数といいます。2を10回かけると1,024で、最初の500倍を超えます。2を10回足すと20であることと比べれば、かけ算の繰り返しがどれほど速く大きくなるかがわかります。
指数法則は「かけた回数を数える」という考えからすぐに出てきます。2³ × 2⁴ は、2を3回かけたものと4回かけたものをさらにかけたのですから、2を7回かけたもの、つまり 2⁷ です。割り算では回数を引き、累乗の累乗では回数をかけます。
- 手順1:2³ × 2⁴ = 2³⁺⁴ = 2⁷ = 128。
- 手順2:(10²)³ = 10²ˣ³ = 10⁶ = 1,000,000。
- 検算:2³ = 8、2⁴ = 16 で、8 × 16 = 128 と同じです。10² = 100 で、100 × 100 × 100 = 1,000,000 と同じです。
2.複利 ― 利息に利息がつく
単利は最初の元金にだけ利息がつき、複利は利息が元金に加えられてから、その合計にまた利息がつきます。年 r の複利で n 年たつと、元金に (1 + r) を n 回かけることになるので、複利は指数の問題です。
最初の数年は単利と複利の差が小さく見えますが、期間が長くなるほど差は急激に開きます。借金では、同じ原理が逆向きに働きます。返していない利息に利息がつけば、借金も指数的に膨らみます。
- 手順1:1年後。1,000,000 × 1.05 = 1,050,000円。
- 手順2:2年後。1,050,000 × 1.05 = 1,102,500円。
- 手順3:3年後。1,102,500 × 1.05 = 1,157,625円。
- 手順4:単利なら毎年50,000円ずつなので、1,000,000 + 50,000 × 3 = 1,150,000円。
- 検算:1.05³ = 1.157625 なので、1,000,000 × 1.157625 = 1,157,625円 で同じです。複利は単利より7,625円多くなります。
3.2倍になる時間と72の法則
複利で増える量が2倍になるまでにかかる期間は、「72 ÷ 利率(%)」で見積もれます。これを72の法則といいます。年6%なら 72 ÷ 6 = 12 で約12年、年8%なら約9年です。
あくまで見積もりです。年6%で12年の複利を計算すると 1.06¹² ≈ 2.012 でほぼ正確ですが、利率がとても高かったり低かったりすると誤差が大きくなります。正確な期間は次の節の対数で求めます。年6%の正確な値は約11.9年です。
この法則はお金以外にも使えます。毎年一定の割合で増える利用者数、物価、データ量などすべてに当てはまります。物価が毎年3%ずつ上がれば、約 72 ÷ 3 = 24 年後に物価は2倍になり、同じお金で買える量は半分に減ります。
- 手順1:見積もり。72 ÷ 10 = 7.2年。
- 手順2:実際に確かめます。1.1⁷ ≈ 1.949 でまだ2倍にならず、1.1⁸ ≈ 2.144 で2倍を超えます。
- 手順3:したがって7年と8年の間に2倍になります。対数で正確に求めると約7.27年です。
- 検算:1.1⁷ = 1.1 × 1.1 × … を順にかけていくと 1.21、1.331、1.4641、1.61051、1.771561、1.9487171 で、2に少し届きません。
4.対数 ― 何回かけたか
2を何回かけると8になるでしょうか。3回です。この「何回」を表すことばが対数です。log₂ 8 = 3 と書き、「2を底とする8の対数は3」と読みます。指数 2³ = 8 を逆に問うたものです。log₁₀ 1000 = 3、log₂ 1024 = 10 も同じ意味です。
対数のいちばん大切な性質は、かけ算を足し算に変えることです。かけた回数同士は足し合わされるからです。log(a × b) = log a + log b。ですから10をかけるたびに、10を底とする対数は1ずつ増えます。
対数は「半分にすることを何回繰り返せばよいか」にも答えます。並べ替えられた1,000,000個のデータから目当ての値を探すとき、真ん中を見て半分ずつ捨てる方法を使えば、log₂ 1,000,000 ≈ 19.9 なので、多くても約20回で見つかります。2²⁰ = 1,048,576 が1,000,000より大きいからです。コンピューターが大きなデータを素早く探す原理の一つです。
5.対数目盛のグラフを読む
ふつうの目盛は1目盛ごとに同じ量を足します(0、10、20、30 …)。対数目盛は1目盛ごとに同じ倍数をかけます(1、10、100、1000 …)。そのため、指数的に増える量を対数目盛に描くとまっすぐな直線になります。毎年2倍になる量は、ふつうの目盛では急に跳ね上がる曲線ですが、対数目盛では一定の傾きの直線です。
対数目盛のグラフを見るときは、同じ高さの差は同じ「倍数」だということを覚えておく必要があります。10から100へ行く距離と、100から1000へ行く距離は同じです。ふつうの目盛のように読むと、後半のとてつもない増加を小さく感じてしまいます。音の大きさ(デシベル)や地震の規模も対数を使う尺度なので、数字が1や10違うだけでも、実際の強さは何倍も違います。
逆に、増え方が鈍ってきているかを見たいときには、対数目盛が役に立ちます。対数グラフの傾きが小さくなっていれば、増加率が下がっているということです。
- 軸に 1、10、100、1000 のように倍数で目盛がついていれば対数目盛である
- 対数目盛での直線 = 一定の割合での増加(指数的な増加)
- 同じ高さの差 = 同じ倍数であって、同じ量ではない
📌 要点まとめ
- 指数はかけた回数である ― かけ算の繰り返しは、足し算の繰り返しよりはるかに速く大きくなる
- 同じ底のかけ算は指数を足し、割り算は引き、累乗の累乗はかける
- 複利は 元金 × (1 + r)ⁿ ― 期間が長いほど単利との差が大きくなる
- 72 ÷ 利率(%)は、2倍になる期間の見積もりである
- 対数は「何回かけたか」であり、かけ算を足し算に変える
- 対数目盛では同じ間隔が同じ倍数であり、指数的な増加が直線に見える
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問題を限りなく新しく作り出します。答えを書いて「確認」を押すとすぐに採点し、「解き方を見る」を押すと本文と同じ順序の段階ごとの解き方が開きます。難易度を選べ、連続で正解した回数を数えます。
- 指数法則(かけ算・割り算・累乗の累乗)
- 対数の値を求める
- ふつうから:0乗・負の指数、対数の足し算の性質、72の法則
- 難しい:複利の元利合計
この演習はブラウザのJavaScriptで問題を作ります。いまは問題を作れないので、上の例題と確認問題で練習し、JavaScriptを有効にしてから開き直してください。
答え
答えは整数・小数・分数で入力します(例:12、0.75、3/4、−2/3、1 3/4)。分数の答えは小数第3位まで合っていれば正解とします。解き方を先に見るか間違えると連続正解は0に戻り、最高記録だけがこのブラウザに保存されます。
🤖 AIにはこう聞いてみましょう
コピーして [ ] の部分を自分の状況に書き換えて使います。答えはそのまま信じず、本文と比べて確かめましょう。
複利の計算を確かめたいとき
元金 [金額]、年 [利率]% の複利、[期間] 年のとき、毎年の元利合計を表で見せてください。同じ条件の単利の結果も隣の列に入れてください。最後の行には 元金 × (1 + r)ⁿ の式で一度に計算した値も書いて、表の最後の値と同じかどうかを見せてください。税金と手数料は除いて計算してください。
対数がまだピンとこないとき
対数を「何回かけたか」という見方で、電卓なしで確かめられる例を5つ使って説明してください。そのあと、私が解く問題を5問出して、答えは私が言ってから教えてください。
- 中学校・高校の数学教科書の一般的な内容(指数、対数、等比数列)
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