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📐 数学の基礎 · 第4講 / 10

関数とグラフ ― 変化を読む目

関数は1つの入力に1つの出力を決める規則で、一次関数の傾きは「入力が1増えると出力がどれだけ変わるか」です。この2つさえつかめば、グラフが語りかけてくるようになります。

⏱ 約18分 ✍️ 確認問題 4問 🔁 演習 無制限 更新 2026-10-08
🎯 この講義の学習目標
  • 関数の意味を入力と出力で説明できる
  • 一次関数の傾きと切片を式とグラフから見つけ、その意味を言える
  • 2点を通る一次関数の式を求められる
  • 2つのグラフの交点を求めて、どちらが有利かを判断できる

1.関数 ― 1つの入力に1つの出力

自動販売機の1番のボタンを押すと、いつも同じ飲み物が出てきます。このように、入力 x を1つ決めると出力 y が1つに決まる関係を関数といいます。「タクシーに乗った距離 → 料金」「勉強した時間 → 試験の点数の予測値」「気温 → アイスクリームの売上の予測値」は、どれも関数で表せる関係です。

逆に、1つの入力に出力がいくつもあるなら関数ではありません。「年齢が30の人 → その人の身長」は、30歳の人は何人もいて身長もまちまちなので、関数になりません。関数かどうかは「同じ入力にいつも同じ出力が出るか」で判断します。

AIのモデルも、広く見れば巨大な関数です。文章や写真を入力すると、答えや分類の結果を出力します。第10講でこの見方をもう一度取り上げます。

2.一次関数 y = ax + b

いちばん単純で、いちばんよく使われる関数が一次関数です。y = ax + b の形で、グラフは直線になります。a を傾き、b を切片(y切片)と呼びます。

切片 b は x = 0 のときの y の値、つまりグラフが y軸と交わる高さです。料金プランなら、何も使わなくても払う基本料金です。傾き a は、x が1増えたときに y がどれだけ変わるかを表します。料金プランなら1GBあたりの追加料金です。a が正なら右上がりの直線、負なら右下がりの直線で、絶対値が大きいほど急になります。

y = 2x + 1 の表を作ってみると、傾きの意味がすぐにわかります。x が1ずつ増えるたびに、y はいつも2ずつ増えます。

傾き = (y の変化量) ÷ (x の変化量)
y = 2x + 1 → 傾き 2、切片 1
y = 2x + 1 の値
x0123
y1357

3.2点から式を求める

直線は2点がわかれば1つに決まります。まず2点の間の傾きを求め、次に1点を式に代入して b を求めます。実際のデータで「2つの時点の値から変化の速さを求める」というのは、まさにこの計算です。

例題点 (1, 5) と (4, 11) を通る直線の式を求めましょう。
  1. 手順1:傾き。(11 − 5) ÷ (4 − 1) = 6 ÷ 3 = 2。
  2. 手順2:y = 2x + b に点 (1, 5) を代入します。5 = 2 × 1 + b、b = 3。
  3. 手順3:式は y = 2x + 3 です。
  4. 検算:もう1つの点 (4, 11) を代入してみます。2 × 4 + 3 = 11 で合っています。
答えy = 2x + 3
例題水が200 L入った水槽から、1分に8 Lずつ水が抜けていきます。x分後に残っている水の量 y を式で表し、水槽が空になる時間を求めましょう。
  1. 手順1:最初の量(x = 0 のとき)が200なので、切片は200です。
  2. 手順2:1分ごとに8 Lずつ減るので、傾きは −8 です。式は y = −8x + 200。
  3. 手順3:空になるのは y = 0 のときです。0 = −8x + 200、8x = 200、x = 25。
  4. 検算:25分間に抜けた水は 8 × 25 = 200 L で、最初の量と同じです。
答えy = −8x + 200、25分後に空になります
グラフが x軸と交わる点(y = 0)を x切片といいます。「いつ0になるか」「いつ使い切るか」を問う問題は、たいてい x切片を問うています。

4.傾きが負の数や分数のとき

傾きが整数でなくても、やり方は同じです。ただし符号と分数の計算で間違いやすいので、2点で引く順序をそろえ、最後に必ずもう1つの点で検算します。

傾き −2/3 は「x が3増えると y が2減る」という意味です。分数の傾きは、このように「横に何マス進むと縦に何マス動くか」と読むと、グラフが描きやすくなります。傾き 1/2 なら右に2マス進むと上に1マス、傾き −3 なら右に1マス進むと下に3マスです。

例題点 (−2, 7) と (4, 3) を通る直線の式を求めましょう。
  1. 手順1:傾き。(3 − 7) ÷ (4 − (−2)) = −4 ÷ 6 = −2/3。
  2. 手順2:y = −2/3 x + b に点 (−2, 7) を代入します。7 = (−2/3) × (−2) + b = 4/3 + b。
  3. 手順3:b = 7 − 4/3 = 21/3 − 4/3 = 17/3。
  4. 検算:もう1つの点 (4, 3) を代入すると (−2/3) × 4 + 17/3 = −8/3 + 17/3 = 9/3 = 3 で合っています。
答えy = −2/3 x + 17/3
引く順序さえ2点でそろえれば、どちらの点を先に置いても傾きは同じです。(7 − 3) ÷ (−2 − 4) = 4 ÷ (−6) = −2/3。

5.交点 ― 2つの選択肢が等しくなる点

2直線が交わる点は、2つの式の値が等しくなる点です。第3講の連立方程式をグラフで見ると、まさにこの交点を求めることになります。生活の場面では「どこから別の選択が有利になるか」を教えてくれます。

例題料金プランAはデータ量に関係なく月30,000円、料金プランBは基本料金10,000円に1GBあたり2,500円です。何GBからAが有利になるでしょうか。
  1. 手順1:式で表します。Aは y = 30,000、Bは y = 2,500x + 10,000(x はGB)。
  2. 手順2:等しくなる点。2,500x + 10,000 = 30,000 → 2,500x = 20,000 → x = 8。
  3. 手順3:8GBより少なく使えばBが安く、8GBより多く使えばAが安くなります。ちょうど8GBなら同じです。
  4. 検算:8GBのとき B = 2,500 × 8 + 10,000 = 30,000円 でAと同じです。6GBならBは25,000円、10GBならBは35,000円で、判断と合っています。
答え8GBを超えて使うならAが有利です

6.グラフを読む ― 傾きは速さである

グラフを見るときは、まず2つの軸が何で、単位が何かを確かめます。次に傾きを読みます。横軸が時間で縦軸が距離なら、傾きは速さです。横軸が使用量で縦軸が料金なら、傾きは単価です。傾きの単位は「縦軸の単位 ÷ 横軸の単位」になります。km/時、円/GB のようにです。

現実のグラフは、たいていまっすぐな直線ではありません。それでも短い区間を切り取れば直線のように見なせて、その区間の傾きがそのときの変化の速さです。傾きがだんだん大きくなれば変化が速まっているところで、傾きが0に近づけば変化が止まりつつあるということです。この「1点での傾き」という考え方は、第10講の勾配降下法につながります。

  • 軸の名前と単位を最初に読む
  • 切片(出発点の値)と傾き(変化の速さ)を、それぞれことばで言い直してみる
  • 傾きが変わる点があれば、何が変わったのかを探す
  • グラフの外の範囲まで、直線をむやみに延ばさない ― 関係がずっと直線だという保証はない

📌 要点まとめ

  • 関数とは、1つの入力に出力が1つに決まる関係である
  • 一次関数 y = ax + b で、a は傾き(1あたりの変化量)、b は切片(出発点の値)である
  • 傾き = y の変化量 ÷ x の変化量、単位は「縦軸の単位/横軸の単位」である
  • 2点があれば、傾きを求めてから1点を代入して b を求める
  • 2直線の交点は、2つの選択肢の値が等しくなる点である

✍️ 確認問題

まず自分で解いてから「解答と解説」を開いてください。

Q1. 2点 (2, 3) と (6, 11) を通る直線の傾きはいくつでしょうか。

⭕ 正解です

❌ もう一度考えてみましょう

解答と解説
正解 ② 2

(11 − 3) ÷ (6 − 2) = 8 ÷ 4 = 2 です。順序を入れ替えて (3 − 11) ÷ (2 − 6) = (−8) ÷ (−4) と計算しても、2で同じです。

Q2. y = −2x + 6 のグラフが x軸と交わる点の x座標(x切片)を求めましょう。

解答と解説
解答例 3

y = 0 を代入すると 0 = −2x + 6、2x = 6、x = 3 です。検算:−2 × 3 + 6 = 0。

Q3. タクシー料金を y = 1,000x + 4,000(x はkm)と単純化したとき、1,000 が表すものは何でしょうか。(例示用の架空の料金です)

⭕ 正解です

❌ もう一度考えてみましょう

解答と解説
正解 ② 1kmあたりに増える料金

x の係数 1,000 は傾きで、距離が1km増えると料金が1,000円増えるという意味です。4,000 は切片で、基本料金にあたります。

Q4. 次のうち、関数とはいえない関係はどれでしょうか。

⭕ 正解です

❌ もう一度考えてみましょう

解答と解説
正解 ④ 体重が60kgの人 → その人の身長

体重が60kgの人は何人もいて身長がそれぞれ違うので、同じ入力に出力がいくつもあります。ほかの3つは、入力が決まれば出力が1つに決まります。

🔁 演習問題(無制限)

問題を限りなく新しく作り出します。答えを書いて「確認」を押すとすぐに採点し、「解き方を見る」を押すと本文と同じ順序の段階ごとの解き方が開きます。難易度を選べ、連続で正解した回数を数えます。

  • 2点を通る直線の傾きと切片
  • x切片(y = 0 になる x)
  • ふつうから:2直線の交点
  • 難しい:傾きが分数の直線

この演習はブラウザのJavaScriptで問題を作ります。いまは問題を作れないので、上の例題と確認問題で練習し、JavaScriptを有効にしてから開き直してください。

🤖 AIにはこう聞いてみましょう

コピーして [ ] の部分を自分の状況に書き換えて使います。答えはそのまま信じず、本文と比べて確かめましょう。

2つの選択肢のどちらが有利かを比べるとき

料金プランAは [条件]、料金プランBは [条件] です。それぞれを y = ax + b の形の式に立てて、2つの式が等しくなる点を計算の過程とあわせて見せてください。その点の前後で値を1つずつ代入して、どちらが安いかを確かめた表も作ってください。

グラフをことばで解釈する練習をするとき

架空のデータで、時間とともに変化する一次関数の場面を3つ作ってください。それぞれの場面について表だけを見せてください。私が傾きと切片を求めてその意味をことばで説明するので、合っているか採点してください。
参考
  • 中学校の数学教科書の一般的な内容(関数、一次関数とグラフ)

学習目標をすべて達成できたら完了を押しましょう。

📐 数学の基礎

  1. 1数と計算 ― 分数と小数をもう一度
  2. 2比と割合 ― パーセントを正しく読む
  3. 3方程式 ― わからない数を見つける天びん
  4. 4関数とグラフ ― 変化を読む目
  5. 5指数と対数 ― かけ算で大きくなる世界
  6. 6図形の基礎 ― 面積と三平方の定理
  7. 7確率 ― 不確かさを数で表す
  8. 8統計 ― 平均値・中央値・分散
  9. 9データを読む ― グラフの落とし穴
  10. 10AIを理解するための数学
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