1.関数 ― 1つの入力に1つの出力
自動販売機の1番のボタンを押すと、いつも同じ飲み物が出てきます。このように、入力 x を1つ決めると出力 y が1つに決まる関係を関数といいます。「タクシーに乗った距離 → 料金」「勉強した時間 → 試験の点数の予測値」「気温 → アイスクリームの売上の予測値」は、どれも関数で表せる関係です。
逆に、1つの入力に出力がいくつもあるなら関数ではありません。「年齢が30の人 → その人の身長」は、30歳の人は何人もいて身長もまちまちなので、関数になりません。関数かどうかは「同じ入力にいつも同じ出力が出るか」で判断します。
AIのモデルも、広く見れば巨大な関数です。文章や写真を入力すると、答えや分類の結果を出力します。第10講でこの見方をもう一度取り上げます。
2.一次関数 y = ax + b
いちばん単純で、いちばんよく使われる関数が一次関数です。y = ax + b の形で、グラフは直線になります。a を傾き、b を切片(y切片)と呼びます。
切片 b は x = 0 のときの y の値、つまりグラフが y軸と交わる高さです。料金プランなら、何も使わなくても払う基本料金です。傾き a は、x が1増えたときに y がどれだけ変わるかを表します。料金プランなら1GBあたりの追加料金です。a が正なら右上がりの直線、負なら右下がりの直線で、絶対値が大きいほど急になります。
y = 2x + 1 の表を作ってみると、傾きの意味がすぐにわかります。x が1ずつ増えるたびに、y はいつも2ずつ増えます。
| x | 0 | 1 | 2 | 3 |
|---|---|---|---|---|
| y | 1 | 3 | 5 | 7 |
3.2点から式を求める
直線は2点がわかれば1つに決まります。まず2点の間の傾きを求め、次に1点を式に代入して b を求めます。実際のデータで「2つの時点の値から変化の速さを求める」というのは、まさにこの計算です。
- 手順1:傾き。(11 − 5) ÷ (4 − 1) = 6 ÷ 3 = 2。
- 手順2:y = 2x + b に点 (1, 5) を代入します。5 = 2 × 1 + b、b = 3。
- 手順3:式は y = 2x + 3 です。
- 検算:もう1つの点 (4, 11) を代入してみます。2 × 4 + 3 = 11 で合っています。
- 手順1:最初の量(x = 0 のとき)が200なので、切片は200です。
- 手順2:1分ごとに8 Lずつ減るので、傾きは −8 です。式は y = −8x + 200。
- 手順3:空になるのは y = 0 のときです。0 = −8x + 200、8x = 200、x = 25。
- 検算:25分間に抜けた水は 8 × 25 = 200 L で、最初の量と同じです。
4.傾きが負の数や分数のとき
傾きが整数でなくても、やり方は同じです。ただし符号と分数の計算で間違いやすいので、2点で引く順序をそろえ、最後に必ずもう1つの点で検算します。
傾き −2/3 は「x が3増えると y が2減る」という意味です。分数の傾きは、このように「横に何マス進むと縦に何マス動くか」と読むと、グラフが描きやすくなります。傾き 1/2 なら右に2マス進むと上に1マス、傾き −3 なら右に1マス進むと下に3マスです。
- 手順1:傾き。(3 − 7) ÷ (4 − (−2)) = −4 ÷ 6 = −2/3。
- 手順2:y = −2/3 x + b に点 (−2, 7) を代入します。7 = (−2/3) × (−2) + b = 4/3 + b。
- 手順3:b = 7 − 4/3 = 21/3 − 4/3 = 17/3。
- 検算:もう1つの点 (4, 3) を代入すると (−2/3) × 4 + 17/3 = −8/3 + 17/3 = 9/3 = 3 で合っています。
5.交点 ― 2つの選択肢が等しくなる点
2直線が交わる点は、2つの式の値が等しくなる点です。第3講の連立方程式をグラフで見ると、まさにこの交点を求めることになります。生活の場面では「どこから別の選択が有利になるか」を教えてくれます。
- 手順1:式で表します。Aは y = 30,000、Bは y = 2,500x + 10,000(x はGB)。
- 手順2:等しくなる点。2,500x + 10,000 = 30,000 → 2,500x = 20,000 → x = 8。
- 手順3:8GBより少なく使えばBが安く、8GBより多く使えばAが安くなります。ちょうど8GBなら同じです。
- 検算:8GBのとき B = 2,500 × 8 + 10,000 = 30,000円 でAと同じです。6GBならBは25,000円、10GBならBは35,000円で、判断と合っています。
6.グラフを読む ― 傾きは速さである
グラフを見るときは、まず2つの軸が何で、単位が何かを確かめます。次に傾きを読みます。横軸が時間で縦軸が距離なら、傾きは速さです。横軸が使用量で縦軸が料金なら、傾きは単価です。傾きの単位は「縦軸の単位 ÷ 横軸の単位」になります。km/時、円/GB のようにです。
現実のグラフは、たいていまっすぐな直線ではありません。それでも短い区間を切り取れば直線のように見なせて、その区間の傾きがそのときの変化の速さです。傾きがだんだん大きくなれば変化が速まっているところで、傾きが0に近づけば変化が止まりつつあるということです。この「1点での傾き」という考え方は、第10講の勾配降下法につながります。
- 軸の名前と単位を最初に読む
- 切片(出発点の値)と傾き(変化の速さ)を、それぞれことばで言い直してみる
- 傾きが変わる点があれば、何が変わったのかを探す
- グラフの外の範囲まで、直線をむやみに延ばさない ― 関係がずっと直線だという保証はない
📌 要点まとめ
- 関数とは、1つの入力に出力が1つに決まる関係である
- 一次関数 y = ax + b で、a は傾き(1あたりの変化量)、b は切片(出発点の値)である
- 傾き = y の変化量 ÷ x の変化量、単位は「縦軸の単位/横軸の単位」である
- 2点があれば、傾きを求めてから1点を代入して b を求める
- 2直線の交点は、2つの選択肢の値が等しくなる点である
🔁 演習問題(無制限)
問題を限りなく新しく作り出します。答えを書いて「確認」を押すとすぐに採点し、「解き方を見る」を押すと本文と同じ順序の段階ごとの解き方が開きます。難易度を選べ、連続で正解した回数を数えます。
- 2点を通る直線の傾きと切片
- x切片(y = 0 になる x)
- ふつうから:2直線の交点
- 難しい:傾きが分数の直線
この演習はブラウザのJavaScriptで問題を作ります。いまは問題を作れないので、上の例題と確認問題で練習し、JavaScriptを有効にしてから開き直してください。
答え
答えは整数・小数・分数で入力します(例:12、0.75、3/4、−2/3、1 3/4)。分数の答えは小数第3位まで合っていれば正解とします。解き方を先に見るか間違えると連続正解は0に戻り、最高記録だけがこのブラウザに保存されます。
🤖 AIにはこう聞いてみましょう
コピーして [ ] の部分を自分の状況に書き換えて使います。答えはそのまま信じず、本文と比べて確かめましょう。
2つの選択肢のどちらが有利かを比べるとき
料金プランAは [条件]、料金プランBは [条件] です。それぞれを y = ax + b の形の式に立てて、2つの式が等しくなる点を計算の過程とあわせて見せてください。その点の前後で値を1つずつ代入して、どちらが安いかを確かめた表も作ってください。
グラフをことばで解釈する練習をするとき
架空のデータで、時間とともに変化する一次関数の場面を3つ作ってください。それぞれの場面について表だけを見せてください。私が傾きと切片を求めてその意味をことばで説明するので、合っているか採点してください。
- 中学校の数学教科書の一般的な内容(関数、一次関数とグラフ)
学習目標をすべて達成できたら完了を押しましょう。
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