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📐 数学の基礎 · 第1講 / 10

数と計算 ― 分数と小数をもう一度

計算の順序を守り、分数は「同じ大きさのかけら」にそろえてから足し、割り算は「何回入るか」として理解すれば、分数と小数の計算はぶれなくなります。

⏱ 約15分 ✍️ 確認問題 4問 🔁 演習 無制限 更新 2026-10-08
🎯 この講義の学習目標
  • かっこ・かけ算・割り算・足し算・引き算がまじった式を正しい順序で計算できる
  • 分母の違う分数を通分して足し引きできる
  • 分数の割り算で、割る数をひっくり返してかける理由を説明できる
  • 有限小数を分数に、分数を小数に直せる

1.計算の順序 ― 電卓も守る約束

8 − 2 × 3 はいくつでしょうか。前から順に計算すると 6 × 3 = 18 になりますが、約束どおりの答えは 2 です。かけ算と割り算を足し算と引き算より先にすると決めてあるからです。この約束がなければ、同じ式を人によって違うように読んでしまいます。

順序は3段階で覚えましょう。第一に、かっこの中を先に計算します。第二に、かけ算と割り算を左から順に行います。第三に、足し算と引き算を左から順に行います。かけ算と割り算の間には優先順位がない、という点はよく見落とされます。12 ÷ 3 × 2 は左から計算して 4 × 2 = 8 であり、12 ÷ 6 = 2 ではありません。

8 − 2 × 3 = 8 − 6 = 2
(8 − 2) × 3 = 6 × 3 = 18
12 ÷ 3 × 2 = 4 × 2 = 8
例題20 − 4 × (5 − 2) + 6 ÷ 3 を計算しましょう。
  1. 手順1:まずかっこ。5 − 2 = 3 なので、式は 20 − 4 × 3 + 6 ÷ 3 になります。
  2. 手順2:かけ算・割り算を左から。4 × 3 = 12、6 ÷ 3 = 2。式は 20 − 12 + 2 です。
  3. 手順3:足し算・引き算を左から。20 − 12 = 8、8 + 2 = 10。
  4. 検算:足し算・引き算を逆にたどります。10 − 2 = 8、8 + 12 = 20 と最初の数に戻るので、順序どおり正しく計算できています。
答え10
式がまぎらわしいときは、かっこを増やして意図をはっきり書きましょう。AIに式を渡すときも同じです。

2.分数の足し算と引き算 ― 通分

分数とは「全体を同じ大きさに分けたかけらのうちの何個か」です。3/4 は全体を4つに分けたうちの3つです。だから大きさの違うかけら同士は、そのままでは足せません。4等分したかけらと3等分したかけらを足すには、まず同じ大きさのかけらに切り直す必要があります。これが通分です。

通分するときは、2つの分母の最小公倍数を共通の分母にすると楽です。4と3の最小公倍数は12なので、1/4 は 3/12、2/3 は 8/12 になります。分母と分子に同じ数をかけても、分数の大きさは変わりません。いちばん多い間違いは、1/4 + 2/3 = 3/7 のように分子同士、分母同士を足してしまうことです。3/7 は約 0.43 で、2/3(約 0.67)よりも小さいのですから、筋が通りません。

1/4 + 2/3 = 3/12 + 8/12 = 11/12
a/b + c/d = (a×d + c×b) / (b×d)
例題5/6 − 3/8 を計算しましょう。
  1. 手順1:6と8の最小公倍数を探します。6の倍数 6, 12, 18, 24 のうち、8でも割り切れる最初の数は 24 です。
  2. 手順2:通分します。5/6 = (5×4)/(6×4) = 20/24、3/8 = (3×3)/(8×3) = 9/24。
  3. 手順3:分子同士を引きます。20/24 − 9/24 = 11/24。11と24の公約数は1だけなので、これ以上約分できません。
  4. 検算:逆に足してみます。11/24 + 9/24 = 20/24 = 5/6。小数でも確かめると 5/6 ≈ 0.833、3/8 = 0.375 で、差は約 0.458。11/24 ≈ 0.458 と一致します。
答え11/24

3.分数のかけ算と割り算 ― なぜひっくり返してかけるのか

分数のかけ算は、分子同士、分母同士をかけます。2/3 × 3/4 = 6/12 = 1/2 です。「3/4 の 2/3 だけ」と読めば、結果がもとより小さくなるのも自然です。

割り算は「割る数が何回入るか」を問う計算です。2 ÷ 1/4 は、2の中に 1/4 が何回入るかを問うもので、1の中に 1/4 は4回入るので答えは 8 です。1/4 で割ることと 4 をかけることは同じだ、ということです。これを一般化したのが「割る分数の分子と分母を入れ替えて(逆数にして)かける」という規則です。

1より小さい数で割ると、結果は大きくなることも覚えておきましょう。「割ると小さくなる」という直感が正しいのは、1より大きい数で割るときだけです。

a/b ÷ c/d = a/b × d/c
3/4 ÷ 2/5 = 3/4 × 5/2 = 15/8 = 1と7/8
例題牛乳 2/3 L を 1/6 L 入りのコップに分けて注ぐと、何杯になるでしょうか。
  1. 手順1:式を立てます。2/3 の中に 1/6 が何回入るかを問うので、2/3 ÷ 1/6 です。
  2. 手順2:逆数をかけます。2/3 × 6/1 = 12/3。
  3. 手順3:約分します。12/3 = 4。
  4. 検算:4杯 × 1/6 L = 4/6 L = 2/3 L で、最初の量と同じです。
答え4杯
例題3/4 ÷ 2/5 を計算し、帯分数で表しましょう。
  1. 手順1:割る数 2/5 の逆数は 5/2 です。
  2. 手順2:3/4 × 5/2 = 15/8。
  3. 手順3:15 ÷ 8 = 1 あまり 7 なので、15/8 = 1と7/8 です。
  4. 検算:商 × 割る数 = 割られる数 になるかを見ます。15/8 × 2/5 = 30/40 = 3/4。合っています。
答え15/8(= 1と7/8)

4.小数と分数の変換

小数は、分母が 10、100、1000… の分数を短く書いたものです。0.375 は 375/1000 で、分子と分母を公約数 125 で割ると 3/8 になります。逆に分数を小数に直すときは、分子を分母で割ります。3/8 = 3 ÷ 8 = 0.375 です。

すべての分数がきれいな小数になるわけではありません。1/3 = 0.333… のように、同じ数字が限りなく繰り返す循環小数になるものもあります。既約分数にしてから分母を素因数分解したとき、2と5しかなければ有限小数、ほかの素因数があれば循環小数です。8 = 2×2×2 なので 3/8 は有限小数、3が入っている 1/3 は循環小数です。

ですから 0.33 を 1/3 と書くと誤差が生じます。こうした近似値は ≈ の記号で表す習慣をつけましょう。1/3 ≈ 0.33 です。コンピューターも内部では2進法を使うため 0.1 のような数を正確には持てず、0.1 + 0.2 が 0.30000000000000004 のように表示されることがあります。

よく使う分数と小数
分数小数パーセント
1/20.550%
1/40.2525%
3/40.7575%
1/50.220%
1/80.12512.5%
1/30.333…(≈ 0.33)約 33.3%
例題0.65 を既約分数で表しましょう。
  1. 手順1:小数点以下2けたなので、0.65 = 65/100 です。
  2. 手順2:65と100の最大公約数は5です。65 = 5×13、100 = 5×20。
  3. 手順3:分子と分母を5で割ると 13/20 です。
  4. 検算:13 ÷ 20 = 0.65 で、最初の小数と同じです。
答え13/20

5.よくある間違いと点検のしかた

いちばんよい点検法は見積もりです。計算する前に、答えがだいたいどれくらいになりそうかを先に言ってみましょう。1/4 + 2/3 は 0.25 と 0.67 くらいを足すのだから、1より少し小さいはずです。11/12 ≈ 0.92 が出たなら安心してかまいません。AIが示した計算も同じ方法でまず見積もってみると、大きく外れた答えはすぐにふるい落とせます。

  • 分子同士、分母同士を足す:1/2 + 1/3 ≠ 2/5。通分すると 3/6 + 2/6 = 5/6 です。
  • かけ算と割り算の間に順序をつけてしまう:かけ算と割り算は同じ順位なので、左から計算します。
  • 割り算で前の数をひっくり返す:逆数にするのは割る数(後ろの数)です。
  • 近似値を正確な値のように使う:0.33 は 1/3 ではなく、1/3 の近似値です。

📌 要点まとめ

  • かっこ → かけ算・割り算(左から)→ 足し算・引き算(左から)の順に計算する
  • 分母の違う分数は最小公倍数で通分してから、分子同士を足し引きする
  • 分数の割り算は割る数の逆数をかける ―「何回入るか」を問う計算である
  • 既約分数の分母に2と5しかなければ有限小数、それ以外の素因数があれば循環小数になる
  • 計算の前に見積もり、計算の後には逆にたどって検算する

✍️ 確認問題

まず自分で解いてから「解答と解説」を開いてください。

Q1. 6 + 4 × 2 − 3 の値はいくつでしょうか。

⭕ 正解です

❌ もう一度考えてみましょう

解答と解説
正解 ② 11

かけ算を先にします。4 × 2 = 8、次に左から 6 + 8 = 14、14 − 3 = 11 です。17 は前から順に計算したとき((6+4)×2−3)に出る間違った答えです。

Q2. 1/2 + 1/3 を計算した値はどれでしょうか。

⭕ 正解です

❌ もう一度考えてみましょう

解答と解説
正解 ③ 5/6

最小公倍数6で通分すると 3/6 + 2/6 = 5/6 です。2/5 は分子同士、分母同士を足すというよくある間違いです。

Q3. 2 ÷ 1/4 の値を求めましょう。

解答と解説
解答例 8

2 × 4/1 = 8 です。1の中に 1/4 は4回入るので、2の中には8回入ります。検算:8 × 1/4 = 2。

Q4. 次のうち、有限小数で表せない分数はどれでしょうか。

⭕ 正解です

❌ もう一度考えてみましょう

解答と解説
正解 ③ 1/6

1/6 の分母 6 = 2 × 3 には3が含まれているので、0.1666… という循環小数になります。8 = 2³、20 = 2² × 5、25 = 5² は2と5だけでできているので、それぞれ 0.375、0.35、0.36 で終わります。

🔁 演習問題(無制限)

問題を限りなく新しく作り出します。答えを書いて「確認」を押すとすぐに採点し、「解き方を見る」を押すと本文と同じ順序の段階ごとの解き方が開きます。難易度を選べ、連続で正解した回数を数えます。

  • 分数の足し算・引き算(通分と約分)
  • 分数のかけ算・割り算(逆数をかける)
  • 分数を小数に、小数を既約分数に
  • 難しい:かけ算がまじった式の計算順序

この演習はブラウザのJavaScriptで問題を作ります。いまは問題を作れないので、上の例題と確認問題で練習し、JavaScriptを有効にしてから開き直してください。

🤖 AIにはこう聞いてみましょう

コピーして [ ] の部分を自分の状況に書き換えて使います。答えはそのまま信じず、本文と比べて確かめましょう。

分数の計算の解き方が合っているか確かめたいとき

私が解いた手順を見せます。正解をすぐに言わずに、各段階が合っているかを一つずつ示してください。間違った段階があれば、その段階だけを指摘して、なぜ間違いなのかを説明してください。問題:5/6 − 3/8。私の解き方:[解き方を貼り付け]

練習問題がもっと欲しいとき

分母の違う分数の足し算・引き算と、分数の割り算の問題を、やさしいものから難しいものまで8問作ってください。正解と解き方は、いちばん下に「正解」という見出しをつけて別にまとめてください。全部解いてから見ます。

AIが計算した結果をそのまま信じる前に

今の計算を小数に直して、もう一度確かめてください。それから、計算する前に答えがだいたいどれくらいになるかを見積もった値もあわせて見せてください。
参考
  • 小学校・中学校の算数・数学教科書の一般的な内容(分数と小数、有理数)

学習目標をすべて達成できたら完了を押しましょう。

📐 数学の基礎

  1. 1数と計算 ― 分数と小数をもう一度
  2. 2比と割合 ― パーセントを正しく読む
  3. 3方程式 ― わからない数を見つける天びん
  4. 4関数とグラフ ― 変化を読む目
  5. 5指数と対数 ― かけ算で大きくなる世界
  6. 6図形の基礎 ― 面積と三平方の定理
  7. 7確率 ― 不確かさを数で表す
  8. 8統計 ― 平均値・中央値・分散
  9. 9データを読む ― グラフの落とし穴
  10. 10AIを理解するための数学
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