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💰 経済・金融の基礎 · 第6講 / 10

保険のしくみ ― リスクを分け合う計算

保険は、大勢が少しずつお金を出し合って、一部の人に起きた大きな損失を埋めるしくみです。加入者にとって期待値はたいてい損ですが、自分では負いきれない大きな損失を防ぐためには合理的になりえます。

⏱ 約17分 ✍️ 確認問題 5問 更新 2026-10-09
🎯 この講義の学習目標
  • リスクの分かち合いと大数の法則から、保険が成り立つ理由を説明できる
  • 期待値を使って保険料の構成(純保険料と付加保険料)を計算できる
  • 保険で備えるのが合理的な損失と、自分で負担したほうがよい損失を区別できる
  • 保障型・貯蓄型、解約返戻金、更新型・非更新型、告知義務を説明できる

1.リスクを分け合うしくみと大数の法則

ある事故がだれに起こるかは前もってわかりませんが、大勢の人を集めると「だいたい何人に起こるか」はかなり正確に予測できます。保険はこの性質を利用します。似たリスクを持つ人たちがあらかじめ少しずつお金を出し合っておき、実際に事故にあった人の損失をそのお金で埋めるのです。ひとりでは負いきれない大きな損失が、全員で分けて払う小さな費用に変わるわけです。これをリスクの分かち合い(危険の分散)といいます。

集まる人が多いほど、実際の事故件数が期待した割合に近づく現象を大数の法則といいます。数学第8講で見た標準偏差で確かめられます。人数が100倍になっても、事故件数のばらつき(標準偏差)は10倍にしか増えないので、平均に対する相対的なばらつきは10分の1に縮みます。そのため加入者が多いほど、保険料を安定して決められるのです。

事故件数の平均 = n × p
事故件数の標準偏差 = √(n × p × (1 − p)) (n:人数、p:1人が事故にあう確率)
例題例として、1人が1年のうちに事故にあう確率を1%と仮定します。1,000人と10万人が集まったとき、事故件数のばらつきを比べてみましょう(小数第1位に四捨五入)。
  1. 手順1:1,000人の場合。平均は 1,000 × 0.01 = 10件、標準偏差は √(1,000 × 0.01 × 0.99) = √9.9 ≈ 3.1件。平均の約31%です。
  2. 手順2:10万人の場合。平均は 100,000 × 0.01 = 1,000件、標準偏差は √990 ≈ 31.5件。平均の約3.1%です。
  3. 検算:人数が100倍のとき、標準偏差は √100 = 10倍(3.1 → 31.5)で、相対的なばらつきは 31% → 3.1% と10分の1になります。
答え1,000人では平均の約31%、10万人では約3.1%だけばらつきます

2.期待値から見た保険料の構成

期待値は「起こりうる結果 × その確率」をすべて足した値で、同じことを何度もくり返したときの平均です。保険料の基本は、保険会社が1人あたり平均して支払うと見込む金額、つまり損失の期待値です。この部分を純保険料(危険保険料)といいます。

けれども保険会社は、社員の給与、販売の費用、契約の管理、予想より事故が多かったときに備えた余裕分も用意しなければなりません。こうした費用を上乗せした部分を付加保険料(事業費)といいます。したがって加入者が払う保険料は平均して受け取る保険金より多く、加入者から見た保険の期待値はたいてい損(マイナス)です。これはごまかしではなく、保険という制度の構造から生じる結果です。

期待値 = Σ(結果 × 確率)
保険料 = 純保険料(損失の期待値)+ 付加保険料(事業費など)
例題例として、1年に1%の確率で2,000万ウォンの損失が生じるリスクがあると仮定します。純保険料はいくらで、付加保険料が5万ウォンなら加入者の期待値はいくらでしょうか。
  1. 手順1:損失の期待値。20,000,000 × 0.01 = 200,000ウォン。これが純保険料です。
  2. 手順2:保険料。200,000 + 50,000 = 250,000ウォン。
  3. 手順3:加入者の期待値。受け取る保険金の期待値200,000ウォン − 払った保険料250,000ウォン = −50,000ウォン。
  4. 検算:1,000人が加入すると平均10人が2,000万ウォンずつ受け取り、支払額は2億ウォン、集めた保険料は2億5,000万ウォンで、差は1人あたり5万ウォンです。
答え純保険料は200,000ウォン、加入者の期待値は1年あたり −50,000ウォン

3.期待値では損なのに保険が合理的になる場合

期待値がマイナスなら、保険はいつも損なのでしょうか。期待値はあくまで平均であり、1回の結果が自分の暮らしに与える衝撃の大きさは別に考える必要があります。先の例で毎年5万ウォンを余分に払うのは負担できる小さな費用ですが、2,000万ウォンの損失が一度に降りかかれば、暮らしが立ち行かなくなったり借金をしなければならなくなったりするかもしれません。負いきれない大きな損失を、負担できる小さな費用に置きかえること。これが保険の合理性です。

反対に、損失が小さく第3講で用意した緊急資金で埋められるなら、同じ期待値の損を毎年払うより自分で負担したほうが平均的には有利です。これを自家保険と呼ぶこともあります。自己負担額(免責金額)も同じ考え方です。損失のうち最初の一定額を加入者が払うことにすると、小さな請求が減って保険料が下がります。例として損害が100万ウォン、自己負担額が20万ウォンなら、保険金は80万ウォンです。

例題例として、30万ウォンの品物が1年に10%の確率で壊れると仮定します。この品物だけを保障する保険料が年45,000ウォンなら、期待値はいくらでしょうか。
  1. 手順1:損失の期待値。300,000 × 0.1 = 30,000ウォン。
  2. 手順2:加入者の期待値。30,000 − 45,000 = −15,000ウォン。
  3. 手順3:解釈。30万ウォンが緊急資金で埋められる大きさなら、平均的には自分で負担するほうが毎年15,000ウォン有利です。
  4. 検算:保険料45,000ウォンは期待損失30,000ウォンの1.5倍です(45,000 ÷ 30,000 = 1.5)。
答え期待値は年 −15,000ウォン ― 負担できる損失なら自家保険も選択肢です
問いを「保険金を受け取れる確率は高いか」から「この損失が起きたら自分は負担できるか」に置きかえると、判断しやすくなります。

4.保障型と貯蓄型、そして解約返戻金

保険は大きく、リスクに備える保障型と、保障に加えてお金を積み立てる機能がついた貯蓄型に分けられます。貯蓄型の保険料には保障にかかる分と事業費がいっしょに含まれているので、払ったお金がすべて積み立てられるわけではありません。第1講の複利計算で比べるときも、実際に積み立てられる金額をもとにする必要があります。

途中で解約すると解約返戻金を受け取ります。事業費が契約の初めのほうに多く反映される構造がよくあるため、加入して間もなく解約すると、返戻金が払った保険料よりずっと少なかったり、ほとんどなかったりすることがあります。保障型のなかには、返戻金を減らしたりなくしたりする代わりに保険料を下げた形もあります。加入前に解約時期ごとの返戻金の表を確かめ、長い間保険料を払い続けられるかを考えることが大切です。

保険を分けるいくつかの基準(一般的な原則)
区分特徴確かめること
保障型事故・病気などのリスクに備える保障の範囲・保障額・支払われない条件
貯蓄型保障 + 積み立ての機能事業費を除いた実際の積立額、解約時の返戻金
更新型決まった期間ごとに保険料を計算し直す更新のときに保険料が上がることがある
非更新型払込期間中は保険料が同じ最初の保険料が相対的に高いことがある

5.更新型と非更新型、告知義務

更新型は、一定期間ごとにその時点の年齢と危険率を反映して保険料を決め直します。最初は保険料が低くても、年齢が上がるほど事故の確率が高まるので、更新のときに上がることがあります。非更新型は払込期間中ずっと同じ保険料を払う代わりに、将来の高いリスクの分まで前もって分けて払うので、最初の保険料が高めです。どちらがよいという正解はなく、払込総額とこれから先の支払い能力をあわせて考える問題です。

告知義務とは、加入するときに保険会社が尋ねる健康状態・職業などの重要な事がらを、事実のとおりに伝えなければならない義務です。保険料は加入者のリスクの大きさをもとに決まるので、事実と違うことを伝えたり伝え漏らしたりすると、あとで契約が解除されたり保険金を受け取れなかったりすることがあります。販売する人が「言わなくても大丈夫」と言ったとしても、質問書に書かれたことには自分で事実のとおりに答えるのが原則です。

6.必要な保障を自分で見きわめるための問い

どんな保障が必要かは人によって違います。この講義は特定の保障を勧めません。その代わり、下の問いに自分で答えてみると、何が必要で何が重なっているかが見えてきます。すでに加入している保険があれば、保障内容を表に整理して、重なっている部分と抜けている部分を探してみましょう。

  • この損失が起きたら、緊急資金と収入で負担できるか、それとも暮らしが立ち行かなくなるか
  • 自分の収入に頼って暮らしている家族がいるか
  • すでに持っている保障(勤務先・公的制度・既存の契約)と重なっていないか
  • 保険料をこれから何年、何十年と払い続けられるか ― 途中で解約したときの損失はいくらか
  • 保障の範囲と、保障されない場合(支払われない条件)を約款で確かめたか
  • 保障と貯蓄を1つの商品にまとめる必要があるか、別々にする場合と比べたか
保険の契約や紛争についての公式な案内は、韓国なら金融監督院など、公的機関の資料で確かめてください。

📌 要点まとめ

  • 保険は、大勢が少しずつ出し合って一部の人の大きな損失を埋める、リスクの分かち合いのしくみである
  • 大数の法則:人が多いほど、実際の事故の割合が期待した割合に近づく
  • 保険料 = 純保険料(損失の期待値)+ 付加保険料 ― 加入者の期待値はたいていマイナスである
  • 負いきれない大きな損失には保険が、負担できる小さな損失には自家保険が合理的になりうる
  • 解約返戻金は初めのうち少ないことがあり、更新型は保険料が上がることがあり、告知義務は事実のとおりに守る

✍️ 確認問題

まず自分で解いてから「解答と解説」を開いてください。

Q1. 例として、1年に2%の確率で500万ウォンの損失が生じると仮定するとき、損失の期待値(純保険料)はいくらでしょうか。

⭕ 正解です

❌ もう一度考えてみましょう

解答と解説
正解 ② 10万ウォン

5,000,000 × 0.02 = 100,000ウォンです。実際の保険料はこれに付加保険料が加わり、これより高くなります。

Q2. 大数の法則の説明として正しいものはどれでしょうか。

⭕ 正解です

❌ もう一度考えてみましょう

解答と解説
正解 ② 加入者が多いほど、実際の事故の割合が期待した割合に近づく

1人の事故の確率はそのままですが、集まる人が多いほど全体の事故の割合のばらつきが小さくなり、予測が正確になります。

Q3. 例として、損害が150万ウォンで自己負担額が30万ウォンなら、保険金はいくらでしょうか。

解答と解説
解答例 120万ウォン

1,500,000 − 300,000 = 1,200,000ウォンです。最初の30万ウォンは加入者が負担します。

Q4. 加入者から見た保険の期待値が、たいていマイナスになる理由は何でしょうか。

⭕ 正解です

❌ もう一度考えてみましょう

解答と解説
正解 ② 保険料に、損失の期待値のほか事業費などの付加保険料が上乗せされるから

保険料 = 純保険料 + 付加保険料なので、平均して受け取る保険金(純保険料の分)より払う保険料のほうが多くなります。

Q5. 加入して間もなく解約すると、解約返戻金が払った保険料より大幅に少なくなることがある理由を、一文で書いてください。

解答と解説
解答例 事業費などが契約の初めのほうに多く反映され、積み立てられた金額が少ないから

保険料のうち保障にかかる分と事業費が先に差し引かれ、事業費が初めのうちにまとめて反映される構造がよくあるため、初期の返戻金は少なくなります。

🤖 AIにはこう聞いてみましょう

コピーして [ ] の部分を自分の状況に書き換えて使います。答えはそのまま信じず、本文と比べて確かめましょう。

保険料が妥当かどうか感覚をつかみたいとき

保障額 [金額]、年間の保険料 [金額] の保障があります。事故の確率を [ ]% と仮定して、損失の期待値と加入者の期待値を計算の過程とあわせて見せてください。確率は私が決めた仮定の値だけを使い、実際の統計に触れるときは出典と基準年を明らかにしてください。

加入している保険が重なっていないか整理したいとき

私が持っている保険の保障内容は [貼り付け] です。保障項目ごとに表を作り、重なっている部分と抜けている部分に印をつけてください。特定の商品は勧めずに、約款で私が自分で確かめるべき条件をリストにしてください。

更新型と非更新型を比べてみたいとき

更新型は今の月額が [金額] で [ ]年ごとに [ ]% ずつ上がると仮定し、非更新型は [ ]年間ずっと月額 [金額] と仮定してください。2つの場合の払込総額を年ごとの表で計算してください。仮定した数字と実際の更新後の保険料は違うことがある、という点も書き添えてください。

🧰 関連ツール

この講義の計算を自分の数字で試せるツールです。結果は入力した仮定による計算で、投資の勧誘ではありません。

参考
  • 韓国・金融監督院の金融消費者向け教育資料の一般的な内容(保険のしくみ、告知義務、解約返戻金)
  • 高校の確率・統計の教科書の一般的な内容(期待値、大数の法則)

学習目標をすべて達成できたら完了を押しましょう。

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