1.物理変化と化学変化
氷がとけたり紙を切ったりするのは、物質の形や状態だけが変わる物理変化です。一方、紙が燃えて灰と煙になったり、鉄がさびたり、肉を焼くと色や味が変わったりするのは、もとと違う新しい物質ができる化学変化です。
化学変化の正体は原子の組み換えです。原子どうしの結合が切れ、別の相手と新しく結びつくことで、性質の違う物質がつくられます。色の変化、気体の発生、沈殿ができること、熱や光の出入りは、化学変化が起きた手がかりになります。
2.質量保存と化学反応式
化学反応の前後で、原子の種類と数は変わりません。そのため反応前の物質全体の質量と、反応後の物質全体の質量は等しくなります。これが質量保存の法則です。
木を燃やすと、灰はもとの木よりずっと軽く見えます。質量が消えたのではなく、二酸化炭素と水蒸気が空気中に出ていったからです。反対にスチールウールを燃やすと、空気中の酸素と結びついて質量が増えます。密閉した容器の中で反応させれば、前後の質量が同じであることを確かめられます。
化学反応式は、反応する物質を左側に、できる物質を右側に化学式で書き、矢印で結びます。そして両側の原子の数が同じになるように、化学式の前に係数をつけます。化学式の中の小さな数字(H₂Oの2)は物質そのものを変えてしまうので決して変えず、前の係数だけを調整します。
- 原子の数を数える:左側 H 2、O 2 / 右側 H 2、O 1 → 酸素が合っていません。
- 右側の水に係数2:H₂ + O₂ → 2H₂O → 右側 H 4、O 2
- 今度は水素が合わないので、左側の水素に係数2:2H₂ + O₂ → 2H₂O
- 検算:左側 H 4、O 2 / 右側 H 4、O 2 で同じです。
- 炭素:左側1、右側1 → 合っています。
- 水素:左側4、右側2 → H₂Oに係数2をつけて CH₄ + O₂ → CO₂ + 2H₂O
- 酸素:右側のCO₂の2個 + 2H₂Oの2個 = 4個 → 左側のO₂に係数2
- 検算:左側 C 1、H 4、O 4 / 右側 C 1、H 4、O 4
- 質量保存の法則:反応する物質全体の質量 = できる物質全体の質量
- 4 g + 32 g = 36 g
- 確認:水素原子の質量を1、酸素を16とすると、2H₂ = 2 × 2 = 4、O₂ = 32、2H₂O = 2 × 18 = 36 で比が合っています。
3.反応式で量を計算する — 燃料を燃やすと二酸化炭素はどれだけ出るか
係数を合わせた反応式は、原子がいくつずつ反応するかを教えてくれるので、原子の相対的な質量がわかれば、物質が何gずつ反応し、何gずつできるかも計算できます。ここでは水素1、炭素12、酸素16というおおよその原子量を使います。分子の質量は、その中の原子量をすべて足した値です。
この計算をすると、意外な結果が一つ出てきます。燃料を燃やしてできる二酸化炭素は、もとの燃料より重いのです。燃料の中の炭素原子一つが、空気中の酸素原子二つと結びつくからです。質量保存の法則に反しているのではなく、空気から取り込んだ酸素の質量が加わったのです。
- 分子の質量:CH₄ = 12 + 4 × 1 = 16、O₂ = 2 × 16 = 32、CO₂ = 12 + 2 × 16 = 44、H₂O = 2 × 1 + 16 = 18
- 反応式の係数どおりに質量を求めます:CH₄ 1個分16 g、O₂ 2個分 2 × 32 = 64 g、CO₂ 1個分44 g、H₂O 2個分 2 × 18 = 36 g
- 検算(質量保存):反応前 16 + 64 = 80 g、反応後 44 + 36 = 80 g で同じです。
- 比で増やす:メタン16 gから二酸化炭素44 gができるので、メタン1 kgを燃やすと二酸化炭素は 1 × 44 ÷ 16 = 2.75 kg できます。
4.酸と塩基、そしてpH
酸は水にとけて水素イオン(H⁺)を出す物質で、すっぱい味がし、金属と反応して水素を発生させることが多いです。酢、レモン汁、炭酸飲料が酸性です。塩基は水にとけて水酸化物イオン(OH⁻)を出す物質で、苦い味がし、さわるとぬるぬるします。せっけん、重曹をとかした水、排水口用の洗浄剤が塩基性です。実験室でなければ、味やさわった感じで確かめてはいけません。
酸性や塩基性の強さはpHで表します。25 °CでpH 7が中性、7より小さければ酸性、大きければ塩基性です。pHは1違うごとに水素イオンの濃度が10倍ずつ変わる対数の目盛りです。そのためpH 3の溶液は、pH 5の溶液より水素イオンの濃度が 10 × 10 = 100倍高くなります。対数の目盛りは「数学の基礎」第5講で扱います。
酸と塩基が出会い、水素イオンと水酸化物イオンが水になりながら、たがいの性質を打ち消し合う反応を中和反応といいます。魚の生臭さ(塩基性の物質)をレモン汁でやわらげるのが、身近な例です。
| 物質 | おおよそのpH | 性質 |
|---|---|---|
| レモン汁 | 約2 | 酸性 |
| 酢 | 約3 | 酸性 |
| 純粋な水(25 °C) | 7 | 中性 |
| 重曹の水溶液 | 約8〜9 | 弱い塩基性 |
| せっけん水 | 約9〜10 | 塩基性 |
5.酸化・還元と燃焼
物質が酸素を得たり電子を失ったりする反応を酸化、酸素を失ったり電子を得たりする反応を還元といいます。ある物質が酸化されれば、別の物質が必ず還元されるので、両者は同時に起こります。鉄が空気中の酸素や水にふれてさびるのが、代表的な酸化です。溶鉱炉で鉄鉱石から酸素を取り除いて鉄を得るのは還元です。スマートフォンの電池も、充電と放電のときに酸化・還元反応でエネルギーをたくわえたり出したりしています。
皮をむいたりんごが茶色くなるのも酸化に関係しています。りんごの中の物質が、酵素のはたらきで空気中の酸素と反応するからです。レモン汁をかけたり、うすい食塩水に少しひたしておいたりすると、変色が遅くなります。
燃焼は、物質が酸素と激しく結びついて熱と光を出す酸化反応です。燃焼が起こるには、燃えるもの、酸素、発火点以上の温度という三つの条件がすべて必要です。火を消す方法は、このうち一つを取り除くことです。まきをどける(燃えるものを取り除く)、砂やぬれた毛布をかぶせる(酸素を断つ)、水をかける(温度を下げる)といった方法です。
ただし、油に燃え移った火に水をかけると、水が一瞬で沸騰してはね、火のついた油をまわりに飛び散らせて、かえって危険になります。フライパンの油火災は、ふたをかぶせて酸素を断ち、火を消すのが基本です。
| 燃焼の条件 | 取り除く方法 | 身近な例 |
|---|---|---|
| 燃えるもの | 取り除く | ガスの元栓を閉める、山火事の防火帯 |
| 酸素 | 断つ | 鍋にふたをかぶせる、消火器の粉末 |
| 発火点以上の温度 | 温度を下げる | 水をかける(油・電気の火災は除く) |
📌 要点まとめ
- 化学変化は、原子が結びつく相手を変える組み換えで、新しい物質ができる
- 反応の前後で原子の種類・数が同じなので質量は保存される — 反応式は係数だけを調整して合わせる
- pH 7は中性、小さいほど酸性、大きいほど塩基性で、1の違いは濃度10倍の違いである
- 酸化と還元はいっしょに起こる — さび、りんごの変色、電池がその例である
- 燃焼には燃えるもの・酸素・発火点以上の温度がすべて必要で、一つを取り除けば火は消える
- 燃料を燃やしてできる二酸化炭素は、空気中の酸素が加わるので、もとの燃料より重い
🤖 AIにはこう聞いてみましょう
コピーして [ ] の部分を自分の状況に書き換えて使います。答えはそのまま信じず、本文と比べて確かめましょう。
化学反応式の係数合わせを練習したいとき
中学校レベルの化学反応式の係数を合わせる問題を、やさしいものから順に5問出してください。私が答えを書いたら、原子の種類ごとに左側と右側の個数を表で数えて採点してください。化学式の中の小さな数字を変えてはいけない理由も、一度説明してください。
台所で酸・塩基の実験をしてみたいとき
紫キャベツの汁で指示薬をつくり、酢、重曹水、せっけん水などが酸性か塩基性かを確かめる家庭での実験を教えてください。準備するもの、手順、色の変化を記録する表、そして安全のための決まり(洗剤や漂白剤は使わない、味見をしない、目を保護する、換気する)を必ず入れてください。
- 中学・高校の理科教科書の一般的な内容(化学反応、酸と塩基、酸化と還元)
- 国際純正・応用化学連合(IUPAC)の化合物命名の原則
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