1.原子の構造
すべての物質は、原子というとても小さな粒子でできています。原子の中心には、(+)の電荷をもつ陽子と電荷をもたない中性子でできた原子核があり、そのまわりに(−)の電荷をもつ電子があります。原子は陽子の数と電子の数が等しいので、全体として電気的に中性です。
原子核は原子全体に比べてとても小さく、原子の大きさは原子核の数万倍以上もあります。それでも質量はほとんど原子核に集まっています。陽子一つの質量は電子の約1836倍あるからです。
教科書で原子を太陽のまわりを回る惑星のように描いた図は、理解を助けるためのモデルです。実際の電子は決まった軌道を回る小さな球ではなく、原子核のまわりのどのあたりにいるかを確率でしか言えない状態で存在している、というのが現代の科学の説明です。ただし、電子を殻(電子殻)に分けて配置するモデルは、化学的な性質を説明するのに今でも役に立ちます。
| 粒子 | 位置 | 電荷 | 相対的な質量 |
|---|---|---|---|
| 陽子 | 原子核 | +1 | 約1 |
| 中性子 | 原子核 | 0 | 約1 |
| 電子 | 原子核のまわり | −1 | 約1/1836 |
- 原子番号6 → 陽子6個
- 中性の原子なので、電子も6個
- 質量数12 = 陽子6 + 中性子□ → 中性子 = 12 − 6 = 6個
2.元素、化合物、混合物
元素は、それ以上ほかの物質に分けられない基本的な成分です。水素、酸素、炭素、鉄のように、同じ種類の原子だけでできています。これまでに知られている元素は118種類で、そのうち自然界で見つかるのは一部であり、残りは実験室でつくられました。
化合物は、二種類以上の元素が決まった割合で化学結合した物質です。水(H₂O)は水素と酸素が2 : 1の個数の比で結びついており、食塩の主成分である塩化ナトリウム(NaCl)はナトリウムと塩素が1 : 1で結びついています。化合物は、成分となる元素とはまったく違う性質をもちます。ナトリウムは水と激しく反応する金属で、塩素は有毒な気体ですが、両者が結びついた塩化ナトリウムは私たちが食べる塩です。
混合物は、二種類以上の物質が化学結合せずに混ざっているものです。食塩水、空気、牛乳、土がそうです。混ざる割合は一定ではなく、それぞれの成分の性質がそのまま残っているので、蒸発、ろ過、蒸留といった物理的な方法で分けることができます。海水を蒸発させると塩が得られるのがその例です。
| 区分 | 特徴 | 例 |
|---|---|---|
| 元素 | 一種類の原子だけでできている | 酸素(O₂)、鉄(Fe)、ダイヤモンド(C) |
| 化合物 | 複数の元素が決まった割合で結合し、新しい性質をもつ | 水(H₂O)、二酸化炭素(CO₂)、塩化ナトリウム(NaCl) |
| 混合物 | 結合せずに混ざっており、物理的な方法で分けられる | 空気、食塩水、牛乳、土 |
3.周期表を読む
周期表は、元素を原子番号の順に並べながら、性質の似た元素が同じ縦の列にくるように配置した表です。横の行を周期(第1〜7周期)、縦の列を族(1〜18族)といいます。各マスにはふつう、原子番号、元素記号、元素名、原子量が書かれています。
同じ周期の元素は電子が入っている殻の数が同じで、同じ族の元素はいちばん外側の殻の電子の数(価電子の数)が同じです。化学反応におもに関わるのはこの外側の電子なので、同じ族の元素は性質が似ています。
左側と中央には金属が、右上には非金属が多くあります。1族のリチウム・ナトリウム・カリウムは反応しやすい金属で(水素は1族にありますが非金属です)、17族のフッ素・塩素は反応しやすい非金属、18族のヘリウム・ネオン・アルゴンはほとんど反応しない貴ガス(希ガス)です。スマートフォンの電池に使われるリチウムが1族の金属であることも覚えておくとよいでしょう。
- ナトリウム11個:最初の殻に2、次の殻に8、残りの 11 − 10 = 1個がその次の殻 → 2、8、1
- 塩素17個:2、8、そして 17 − 10 = 7個 → 2、8、7
- 解釈:ナトリウムは外側の電子1個を失いやすく、塩素は1個を得て8個にそろえやすいのです。そのため両者が出会うと、ナトリウムイオン(Na⁺)と塩化物イオン(Cl⁻)になって結びつきます。
4.イオンと同位体
原子が電子を失ったり得たりすると、陽子の数と電子の数が違ってくるので電荷を帯びます。これをイオンといいます。電子を失うと(+)の電荷を帯びた陽イオンに、電子を得ると(−)の電荷を帯びた陰イオンになります。このとき変わるのは電子の数だけで、陽子の数はそのままなので、イオンになっても元素の種類は変わりません。
反対に、陽子の数は同じなのに中性子の数が違う原子もあります。これを同位体といいます。陽子の数が同じなので同じ元素で、化学的な性質もほぼ同じですが、質量数が違います。炭素には炭素12と炭素13のほかに放射性同位体の炭素14があり、炭素14が一定の速さで減っていく性質は、古い遺物の年代を推定するのに使われています。周期表の原子量が整数でないのは、このようにいくつもの同位体が混ざった平均値だからです。
- Na⁺:陽子11個で、電子を1個失ったので、電子は 11 − 1 = 10個
- Cl⁻:陽子17個で、電子を1個得たので、電子は 17 + 1 = 18個
- 炭素14:質量数14 − 陽子6 = 中性子8個
- 検算:Na⁺の電荷 = 陽子11 − 電子10 = +1、Cl⁻の電荷 = 17 − 18 = −1 で、イオンの記号と合っています。
5.物質の状態と状態変化
物質はふつう、固体、液体、気体の三つの状態で存在します。固体は粒子がその場で振動するだけなので形も体積も一定で、液体は粒子がたがいに位置を入れ替えられるので体積は一定でも形は容器に合わせて変わり、気体は粒子が自由に飛び回るので形も体積も一定ではありません。
状態が変わっても粒子そのものは変わらず、粒子の間の距離と並び方が変わるだけなので、状態変化は化学変化ではなく物理変化です。氷、水、水蒸気はどれも同じ水分子です。1気圧のもとで、水は0 °Cで凍り、100 °Cで沸騰します。高い山では気圧が低いので、水は100 °Cより低い温度で沸騰します。
状態が変わるときには熱が出入りします。とけたり蒸発したりするときは熱を吸収し、凍ったり凝縮したりするときは熱を放出します。夏に庭に打ち水をすると涼しくなるのも、汗が乾くときに体温が下がるのも、蒸発するときにまわりの熱を吸収するからです。冷蔵庫やエアコンも、冷媒が蒸発するときに熱を吸収する性質を利用しています。
| 変化 | 名前 | 熱 | 身近な例 |
|---|---|---|---|
| 固体 → 液体 | 融解 | 吸収 | 氷がとける |
| 液体 → 固体 | 凝固 | 放出 | 水が凍る |
| 液体 → 気体 | 気化(蒸発・沸騰) | 吸収 | ぬれた洗濯物が乾く |
| 気体 → 液体 | 液化(凝縮) | 放出 | 冷たいコップの表面に水滴がつく |
| 固体 → 気体 | 昇華 | 吸収 | ドライアイスが小さくなる |
| 気体 → 固体 | 昇華(教科書によっては凝華) | 放出 | 寒い日に窓ガラスに霜がつく |
📌 要点まとめ
- 原子は原子核(陽子+中性子)と電子でできており、原子番号 = 陽子の数である
- 元素は一種類の原子、化合物は元素が決まった割合で結合したもの、混合物は結合せずに混ざったものである
- 周期表の横の行は周期、縦の列は族で、同じ族は外側の電子の数が同じなので性質が似ている
- 状態変化は粒子の並び方だけが変わる物理変化である — 水は1気圧で0 °Cで凍り、100 °Cで沸騰する
- とけるときや蒸発するときは熱を吸収し、凍るときや凝縮するときは熱を放出する
- イオンは電子の数が、同位体は中性子の数が違うだけで、陽子の数(元素の種類)は同じである
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周期表の元素を一つ深く知りたいとき
周期表での[元素名]の位置(周期・族)と原子番号、電子配置(殻のモデルにもとづく)を教えてください。そして、その位置のためにどんな性質をもつのかを説明してください。身のまわりでこの元素が使われているところを三つと、扱うときの注意点も書いてください。殻のモデルが単純化したモデルであることも一行で明記してください。
原子のモデルをたとえで理解し、その限界を知りたいとき
原子の構造を身近なたとえで説明してください(大きさの比がわかるように)。そのうえで、そのたとえが実際の原子と違う点をリストにまとめてください。特に、電子が軌道を回る球のように描かれる図がなぜ正確でないのかを、中学生にわかる程度に説明してください。
- 中学・高校の理科教科書の一般的な内容(物質の成り立ち、状態変化)
- 国際純正・応用化学連合(IUPAC)の元素の周期表
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