1.電荷と静電気
すべての物質は原子でできていて、原子の中には(+)の電荷をもつ陽子と(−)の電荷をもつ電子があります。ふだんは二つの電荷の量が等しく、電気的に中性です。同じ種類の電荷どうしは退け合い、違う種類どうしは引き合います。
冬にセーターを脱ぐときにパチパチと音がするのは、摩擦によって電子が一方の物体からもう一方へ移り、二つの物体がそれぞれ違う電荷を帯びるからです。このように一か所にとどまっている電気を静電気といいます。乾燥した日に起こりやすいのは、空気中の水分が少なく、電荷が逃げにくいからです。
2.電流、電圧、抵抗
電荷が導線にそって移動するのが電流です。単位はA(アンペア)で、1秒間に導線のある断面を通る電荷の量で表します。電流の向きは慣習として(+)極から(−)極へと決められていますが、金属の導線の中を実際に動く電子はその反対向きに移動します。電子が発見される前に向きを決めたからです。
電圧は電流を流そうとするはたらきで、単位はV(ボルト)です。抵抗は電流の流れを妨げる度合いで、単位はΩ(オーム)です。同じ物質なら、導線が長いほど、細いほど抵抗は大きくなります。
よく水の流れにたとえて説明されます。電圧は水タンクの高さの差、電流は流れる水の量、抵抗はパイプの細さにあたります。理解を助けるたとえにすぎず、電気が実際に水のように流れているわけではありません。
- I = V ÷ R
- I = 1.5 V ÷ 3 Ω = 0.5 A
- 検算:V = I × R = 0.5 × 3 = 1.5 V
- P = V × I なので I = P ÷ V = 2200 ÷ 220 = 10 A
- R = V ÷ I = 220 ÷ 10 = 22 Ω
- 検算:P = V × I = 220 × 10 = 2200 W
3.直列つなぎと並列つなぎ
抵抗を一列につなぐことを直列つなぎといいます。すべての抵抗に同じ電流が流れ、全体の抵抗は各抵抗の和になります。一か所が切れると、回路全体に電流が流れなくなります。
抵抗を枝分かれさせて並べてつなぐことを並列つなぎといいます。それぞれの枝に同じ電圧がかかり、全体の電流は各枝の電流の和になります。枝が増えるほど、全体の抵抗はむしろ小さくなります。家の中のコンセントや電灯は並列につながっているので、一つを消したり故障したりしてもほかは動き続け、すべて同じ電圧(この例では220 V)を受けます。
| 直列つなぎ | 並列つなぎ | |
|---|---|---|
| 電流 | どこでも同じ | 枝ごとの電流の和が全体の電流 |
| 電圧 | 各抵抗に分かれてかかる | すべての枝に同じ電圧 |
| 全体の抵抗 | つなぐほど大きくなる | つなぐほど小さくなる |
| 一つが切れると | 全体が消える | ほかは動く |
| 例 | 一部の飾り用電球のコード | 家庭のコンセント・電灯の配線 |
- 全体の抵抗 = 2 + 3 = 5 Ω
- 電流 = 10 V ÷ 5 Ω = 2 A
- 各抵抗の電圧:2 Ωには 2 × 2 = 4 V、3 Ωには 2 × 3 = 6 V。合計が10 Vで合っています。
- 各枝の電流:6 V ÷ 6 Ω = 1 A、6 V ÷ 3 Ω = 2 A
- 全体の電流 = 1 + 2 = 3 A
- 全体の抵抗 = 6 V ÷ 3 A = 2 Ω
- 検算:1/R = 1/6 + 1/3 = 1/6 + 2/6 = 3/6 = 1/2 なので R = 2 Ω
4.電力量 — 電気料金はkWhで決まる
電力(W)は1秒間に使う電気エネルギーの速さで、実際に使ったエネルギーの量は、電力に使用時間をかけた電力量です。電気料金はこの電力量をkWh(キロワット時)の単位で数えて決まります。1 kWhは1,000 Wの機器を1時間使った量です。
そのため、電力の大きい機器でも少しだけ使えば電力量は小さく、電力の小さい機器でも長くつけっぱなしにすれば電力量は大きくなります。電気ケトル(2,200 W)で3分お湯を沸かすより、消費電力の小さい電気ヒーターを毎日何時間もつけるほうが、電力量がずっと多くなることもあります。料金を見積もるには、使ったkWhに明細に書かれたkWhあたりの料金をかけます。単価は地域や使用量の段階によって違います。
エネルギーの観点から見ると、電球は電気エネルギーを光と熱に変えます。同じ明るさを出すのに、白熱電球よりLED電球の消費電力がずっと小さいのは、白熱電球がエネルギーの大部分を光ではなく熱として出してしまうからです。
- 白熱電球:60 W × 5 h × 30日 = 9,000 Wh = 9 kWh
- LED電球:9 W × 5 h × 30日 = 1,350 Wh = 1.35 kWh
- 差:9 − 1.35 = 7.65 kWh
- 検算:電力の差 51 W × 5 h × 30日 = 7,650 Wh = 7.65 kWh で同じです。
5.電流がつくる磁界 — 電磁石
導線に電流が流れると、そのまわりに磁界(磁場)ができます。方位磁針のそばで導線に電流を流すと針が動くことで確かめられます。導線をコイル状に何回も巻き、その中に鉄しんを入れると磁界がずっと強くなります。これが電磁石です。
電磁石は電流を入れたり切ったりするだけで磁石になったりならなかったりし、電流の強さで磁力の大きさを調節できます。鉄くずを持ち上げるクレーン、スピーカー、玄関のチャイムなどに使われています。電動機(モーター)は、磁界の中に置いたコイルに電流を流して力を受けさせ、回転させる装置で、扇風機や洗濯機、スマートフォンの振動にも入っています。
6.磁界がつくる電流 — 発電機
反対に、コイルの近くで磁石を動かしたり、コイルを磁界の中で回したりすると、コイルを通る磁界が変化して電流が流れます。これを電磁誘導といいます。磁石を速く動かすほど、コイルを多く巻くほど、大きな電流が生まれます。
発電所の発電機はこのしくみで動いています。火力・原子力発電所は蒸気で、水力発電所は落ちる水で、風力発電機は風でタービンを回し、タービンにつながった発電機で電気がつくられます。エネルギーの観点から見ると、運動エネルギーを電気エネルギーに変える装置です。モーターは電気 → 運動、発電機は運動 → 電気と、向きが反対なだけです。
スマートフォンのワイヤレス充電やIHクッキングヒーターも電磁誘導を使っています。コイルに速く変化する電流を流して変化する磁界をつくり、その磁界がスマートフォンの中のコイルに電流を生じさせたり、鍋の底に電流を流して熱を出したりします。
📌 要点まとめ
- 同じ種類の電荷は退け合い、違う種類の電荷は引き合う — 静電気は電子の移動によって起こる
- 電圧(V)は押し出すはたらき、電流(A)は流れの量、抵抗(Ω)は妨げる度合いで、V = IRである
- 直列は電流が同じで抵抗が足し合わされ、並列は電圧が同じで枝が増えるほど全体の抵抗が小さくなる
- 家庭の配線は並列なので、各機器が同じ電圧を受け、別々につけたり消したりできる
- 電流は磁界をつくり(電磁石・モーター)、変化する磁界は電流をつくる(発電機)
- 電力量(kWh)= 電力 × 時間で、電気料金はこの電力量で決まる
🤖 AIにはこう聞いてみましょう
コピーして [ ] の部分を自分の状況に書き換えて使います。答えはそのまま信じず、本文と比べて確かめましょう。
電気回路を水の流れのたとえで理解し、その限界も知りたいとき
電圧・電流・抵抗を水の流れにたとえて説明してください。そのうえで、このたとえが実際の電気と違う点を少なくとも三つ指摘してください(例:電子が実際に動く速さ、回路が閉じていなければならない理由)。最後にオームの法則の計算問題を3問出し、私が答えたら採点してください。
家で電磁石をつくってみたいとき
乾電池、エナメル線、鉄くぎで電磁石をつくる家庭での実験を、手順ごとに教えてください。巻き数によってクリップが何個くっつくかを比べる方法、記録表、そして安全上の注意(乾電池をショートさせると発熱すること、家庭用コンセントは絶対に使わないことなど)を必ず入れてください。
- 中学・高校の理科教科書の一般的な内容(電気と磁気)
- 国際単位系(SI)— アンペア(A)、ボルト(V)、オーム(Ω)
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